待っているのは、私にしか紡げない魔法

幼いころの彼女は夢見がちで、空想やファンタジーの世界にいつも憧れていた。

そして、それは28歳になった今でも変わらないのかもしれない。

疲れた体をエスカレーターの手すりに預け、慌ただしく仕事に追われていたこの1週間のことを思い返しながら、彼女はため息を吐いた。

定時ぴったりに職場を後にした彼女が向かうのは、会社近くのビストロでもなければ、駅前のファッションビルでもない。

待ちに待った金曜日、彼女は「魔法」にかかりに行くのだ。

それは、まるで魔法の世界への入り口のような

彼女が訪れたのは、万華鏡や鉱物などの品々を扱う雑貨店『ナチュラルヒストリエ』。三省堂書店池袋本店の4階奥にひっそりと居を構えるその店は、決して目立つ訳ではないけれど、それでも確かにその不思議な存在感を放っている。

初めて足を運んだのは半年ほど前だろうか。フロアガイドに記載された「博物雑貨」の文字が気になって足を運んで以来、彼女はすっかりその神秘的な雰囲気の虜となってしまった。

「識る(しる)ことは、ある種の魔法だ」というコンセプトの通り、店内はさながら博物館のような様相を呈している。

ふと視線を上げた先に何かの化石が飾られていたり、振り向くと土偶が並んでいたりするのだが、陳列されているものに非売品はほとんどない。

そう、ここはまさに「買える博物館」なのだ。

「同じ模様は二度とない」という美しさ

彼女がまず立ち止まったのは、店の中央に位置する「百色眼鏡堂」と書かれたディスプレイだ。

「百色眼鏡」とは万華鏡のこと。作家による手作りの万華鏡が数多く集まるこのコーナーは、都内でも随一の品揃えを誇っている。

色や形、大きさなどがそれぞれ個性に溢れた万華鏡たちは、当然ながら、覗いた時の模様や見え方も全く違う。加えて、同じものであっても、全く同じ模様は二度と見ることはできない。

この儚くも美しい光景を自由に楽しむことができるのも、このナチュラルヒストリエならではの魅力だと彼女は思う。

「物語」が集まり、そして新たに始まる場所

さらに奥へと進んでいくと、カラフルな鉱物がずらりと並ぶ一角が現れる。照明を受けてきらりと輝く鉱石たちは、何度訪れても、どれだけ眺めていても飽きない。

この石はどこから来たのだろう。どうやってできたのだろう。そんな風に空想していると、いつもあっという間に時間が過ぎてしまう。

この日彼女が連れて帰ることにしたのは、感性の赴くままに選んだ小さな蛍石の結晶だった。同じ名前の石なのに、中に浮かんでいる模様の色合いがものによって違っているのが何とも興味深い。

「魔法が解けてしまわないか、少し心配で」

正直にそう伝えると、店員さんが快くディスプレイの方法についても相談に乗ってくれる。

蛍石は、結晶中に混ざっている不純物によってその色を変えるのだと言う。「何だか移り気な女の子みたい」と彼女が声を弾ませると、隣の店員さんも笑顔で頷く。

それぞれのアイテムに宿った物語に触れ、それを手にした彼女自身がまた新しいページを綴る。それこそが、ここでしか体験することのできないとびきりの「魔法」なのだ。

Editor's Note

池袋の三省堂、その4階奥に居を構えるナチュラルヒストリエは、鉱物や万華鏡を扱う博物館のようなお店です。

品揃えは鉱石を模したアクセサリーや宇宙柄のステーショナリー、標本やガラスペン、フラスコ、化石など多種多様でありながら、そのどれもが本格的。まさに博物館を歩くように買い物を楽しめます。バラエティに富んだジャンルの雑貨が揃っているので、プレゼントを探すのにもおすすめです。(編集部 フクシマ)

Shop Access

Shop Info

Bookman’s Gallery ナチュラルヒストリエ

10:00〜22:00

なし

03-6894-1202

東京都豊島区南池袋1-28-1 西武池袋本店 書籍館4F

池袋駅 直結

※取材時期や店舗の在庫状況により、掲載している情報が実際と異なる場合があります。 商品情報や店舗の詳細については直接店舗にお問い合わせください。
Editor 福島みづき
Photographer 有本真大

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