日々を鮮やかに染め上げる、私色に“共鳴”する香り

香りには、人間の記憶との密接な関わりがあるのだという。へとへとになって帰ってきた金曜日の夜、ベッドに横になりながら何となく眺めていたネットニュースの記事にそんな事が書いてあった。

一夜明け、出掛ける支度を済ませた彼女は、すうっと大きく鼻から息を吸ってみた。微かに鼻先をくすぐったのは、夏用の薄手のジャケットに染み付いてしまったオフィスのにおいだ。

彼女は小さく首を振って、それからすぐにスマートフォンを取り出した。彼女が地図アプリに打ち込んだ目的地は、『リスン青山』。表参道にあるインセンスショップだった。

清く澄んだ空気が満ちる空間へ

表参道駅から7分ほど歩き、彼女は『リスン青山』へと辿り着いた。店内には150種類を超えるインセンスが並ぶほか、サシェやインセンスホルダーなど香りにまつわるアイテムが揃っている。

ビルの階段を上り、お店の扉を開けた瞬間、芳しい香りの風が彼女の肩をふわりと撫でる。正面のシンプルなガラスのカウンターにはカラフルなインセンスたちがずらりと並び、その香りのもたらす清浄な雰囲気に彼女はすっかり惹き込まれてしまった。立ち上るけむりをイメージしているというオブジェの幻想的な様子も相まって、何だか別の世界に足を踏み入れているようにさえ思える。

彼女がこのお店を知ったのは、先日姉の新居に招待された時のこと。リビングに漂うほのかな香りについて尋ねた彼女に姉が差し出したのが、このリスンのパンフレットだった。

日々のリズムに“共鳴”する香り

「リスン(Lisn)」というブランド名は、日本に昔からある「香りを聞く」という表現が由来となっている。また、ブランドのデザインコンセプトである「レゾネイト」は、「響く」もしくは「共鳴する」といった意味を持つ。リスンのインセンスは、日々のリズムに“共鳴”するように暮らしの中にさり気なく取り入れられる香りなのだ。

店内のカウンターでは、香りのリストを見ながら気になった香りを心ゆくまで選ぶことができ、気になったインセンスは1本(¥32〜432/税込)から購入することもできるので、自分の好みの香りがはっきりと分からない場合でも安心だ。

また、「夜眠るときに」「リフレッシュしたいときに」など香りを楽しみたいシーンやフィーリングを店員さんに伝えると、相談内容に合った香りを提案してもらえるのも嬉しい。

香りなのに“ネーミング買い”?

リスンのインセンスは「FLORAL」「GREEN」「FRUIT」「CITRUS」などの8つのカテゴリーに分類されており、それぞれのストーリーを背景にした個性的な名前がつけられているのが特徴だ。

例えば、「ALICE」というインセンスなら、アリスのお茶会にでてきそうなアップルティーの香りをイメージ……といったように、イメージストーリーと香り、インセンスネームを照らし合わせるだけでも楽しい。

リストを眺めていた彼女は、ふと「AMOR」と名付けられたインセンスを見つけ、小さく首を傾げた。香りの欄には、「Love/愛」と書いてある。

「愛の香りって、どんな感じなんだろう……?」

思わずそう呟いた彼女に店員さんが差し出してくれたのは、スモーキーなイエローのインセンス。「愛」という名前から赤やピンクのカラーを想像していた彼女は、そのギャップに「へえ……!」と驚嘆の声を漏らした。鼻先に近づけてみると、甘すぎずすっきりとした大人な香りで、こちらもその意外さに驚かされる。

『愛って、甘いだけのものじゃないのよ』

いつだったか、お酒に酔った姉がそんな風に漏らしたことがあった。その時は笑って聞き流したその言葉が、胸の中にはっきりとした輪郭を持ったような、そんな不思議な心地を彼女は感じていた。

香りを楽しむ、日々を刻む

そうしてユニークな名前やカラーと香りの組み合わせを楽しんでいるうちに、彼女の脳裏が子供の頃の思い出や暫く会っていない友人の姿で溢れていく。田舎のほっとする祖母の家、幼い頃によく遊んでいた幼馴染……やっぱり記憶って香りによって呼び起こされるんだなあ、と彼女はひとり懐かしく思う。

同時に、「この香りはあの人にプレゼントしたい、これはあの子に」と香りを贈りたい相手の顔もどんどん浮かび上がってきて、彼女は10種類以上の香りを購入することになった。

「1本32円から買えるのでついつい選びすぎちゃいました」とはにかむ彼女に、店員さんも「ぜひ色々な香りを試してみてくださいね」と笑顔で応えてくれる。

今日からは、毎日の暮らしを今よりももっと好きになれそうな気がする。そして、将来どこかでこの香りを嗅いだとき、何気ない毎日のことも素敵な日々だったと思い起こせるかもしれない。

帰ったら早速焚いてみます、と笑顔で告げて、彼女は軽い足取りでお店を後にした。

Editor's Note

物語が感じられる色とりどりのインセンスがずらりと並ぶ『リスン青山』。はじめてお店に入った瞬間に感じた、体がふわっといい香りに包まれるあの感覚が忘れられません。

今までインセンスに触れたことはなかったのですが、今回の取材を機に、購入したインセンスを毎日たいています。香りを楽しむのはもちろん、「今日はどれにしようかな」とその時の気分に合わせて香りを選ぶのもすごく楽しい!

インセンスそのものは15分程度でたき終わりますが、淡く香る残り香も素敵で、夕食後のリラックスタイムが今までよりもっと落ち着く時間になりました。(編集部 フクシマ)

Shop Access

Shop Info

リスン青山

10:00〜19:00

03-5469-5006

東京都渋谷区神宮前5-47-13 2F

表参道駅 徒歩7分

※取材時期や店舗の在庫状況により、掲載している情報が実際と異なる場合があります。 商品情報や店舗の詳細については直接店舗にお問い合わせください。
Editor 福島みづき
Photographer 有本真大

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