暮らしのアイデアを実験して発見する理科室

夏の日差しは眩しいけれど、日傘をさしてのんびりと街を歩いていると、思いもしなかった新たな出会いがあるものだ。

なんだか今日は、このまままっすぐ帰るのはつまらない。清澄白河にある行きつけの紅茶店を訪れていた彼女は、いつもなら駅へと向かうために踏み出す右足を、今日は反対側へと向けた。

ハンカチで額を押さえながら少し歩いていくと、前方に小さな黒板のようなものが目に入り、彼女は立ち止まる。『リカシツ』と書かれたその黒板と、涼やかなペールブルーの引き戸に心惹かれて、彼女はそのお店の中へと吸い込まれていった。

あの頃を思い出す、懐かしい「理科室」へようこそ

清澄白河駅から4分ほど歩いた場所にある『リカシツ』は、昭和8年から理化学製品の卸業を営む関谷理化株式会社が展開するお店。理化学ガラス職人の技術を守り、継承していくために、お店を訪れるお客さんにビーカーやフラスコといった理化学ガラスのある生活を提案している。

店内には、シャーレや試験管、三角フラスコなど、学校の理科室で使っていた実験器具たちがずらりと並んでいる。ディスプレイも興味深く、ビーカーにドライフラワーが飾られていたり、試薬瓶の中にコーヒー豆が入っていたりと、思わず「こんな風に使えるんだ」と驚くようなアイデアに溢れている。

こうした理化学ガラスは雑貨店などでも時折扱っていることがあるけれど、こんなにたくさんの種類が並んでいるのは見たことがない。小学生の頃、はじめて理科室で実験器具を見たときのように、彼女は胸が高鳴るのを感じていた。

キッチンで大活躍する理化学ガラスたち

学校や研究機関で使われているものというイメージが強い理化学ガラスだが、耐熱性能に優れていてレンジやオーブンでも使用できることから、キッチン用品としても非常に優秀なのだという。密閉性が高いため、調味料の保存容器などとしても使い勝手がいいのだとか。

また、リカシツではそれぞれのアイテムに説明書きが添えられていて、理化学ガラスとしての本来の用途のほか、キッチングッズやインテリアとしてリカシツが提案する使い方も見ることができる。

「上部に向かって細くなっている作りのコニカルビーカーは、液体を入れてふり混ぜてもこぼれないので、ドレッシングを混ぜたりするのに便利なんですよ」

興味深くビーカーを眺めていた彼女に、店員さんがそう教えてくれる。理科の実験で使っていたビーカーがドレッシングの容器として使えるなんて、まさに目から鱗だ。

実験するように、新たな“発見”に出会える場所

試薬瓶の中に苔や動物のミニチュアを詰めた「苔テラリウム」や、理化学ガラスを花器として使用するというアイデアなど、リカシツのプロダクトやディスプレイは実際にお店を訪れたお客さんの使い方を見てインスピレーションを受けることも多いのだという。

「今までは実験器具としか思っていなかったけど、ビーカーやフラスコもお花を飾ったらすごく素敵なインテリアになるんですね! 自分じゃなかなか思いつかないアイデアだし、すごく真似してみたいなって思いました」

声を弾ませる彼女に、店員さんも笑顔でこう返してくれる。

「理化学ガラスはデザインがシンプルだからこそ、手に取ってくれたお客さんそれぞれの使い方があるんですよね。そういう素敵なアイデアがまた別のお客さんに伝わって、理化学ガラスの面白さがもっと広がっていったら嬉しいです」

また、中の熱い液体に手が触れないように取っ手が大きく設計されている「取っ手付きビーカー」などは、実際にビーカーをキッチングッズとして愛用しているお客さんの声によって生まれたアイテムなのだとか。このリカシツは、まさに「お客さんと一緒に作りあげていくお店」なのだ。

“蒸留”のある暮らしのススメ

「向かいにある蒸留所では水出しコーヒーなどをお出ししているので、よかったら覗いてみてください」

醤油差しとして使おうとスポイト瓶を購入した彼女に、店員さんがリカシツの向かいにある「理科室蒸留所」について教えてくれた。

もともとリカシツで販売していた家庭用の蒸留機「リカロマ」がきっかけとなってオープンした理科室蒸留所では、「家庭で蒸留」をコンセプトに、アロマウォーターやその材料となるハーブ、水出しの技術を活かしたドリンクの販売などをおこなっているのだという。店頭ではリカロマを使って蒸留を行っている様子を写したムービーを見ることができるほか、アロマウォーターの保存に適したボトルなどを購入することができる。

また、提供されているドリンクも本格的で、理化学ガラス職人による手作りの水出し珈琲装置で抽出されているアイスコーヒーやアイスティーのほか、リカロマを使って生姜を蒸留し、ソーダで割った甘くないジンジャーソーダなどを楽しむことができる。

理化学ガラスというアイテムの新たな使い方を発見し、胸の中をワクワクする気持ちでいっぱいに満たした彼女は、「また何か新しい発見があるかも」とアイスコーヒーを片手に真夏の日差しの中をもう少し歩くことにしたのだった。

「理科室蒸留所」は原則として週末のみ営業しています。

開店日についての詳しい情報は店舗公式サイトにてご確認ください。

Editor's Note

学校の理科室で目にしていた懐かしの実験器具たちがズラリと並んでいる『リカシツ』は、理化学ガラスの新しい可能性に満ちた空間。

手にとって眺めているだけで、「これは何に使おうかな、あっちはこう使おうかな」と次々とインスピレーションが湧いてきます。

キッチン用品としてはもちろん、テラリウムやアクアリウムなど、お部屋のアクセントとして使うのも楽しそう! シンプルだからこそ、お気に入りのアイテムと組み合わせるワクワク感を味わえます。(編集部 フクシマ)

Shop Access

Shop Info

リカシツ

平日 13:30~18:00/土日祝 13:00~18:00

不定休

03-3641-8891

東京都江東区平野1-9-7 深田荘102

清澄白河駅 徒歩4分

※取材時期や店舗の在庫状況により、掲載している情報が実際と異なる場合があります。 商品情報や店舗の詳細については直接店舗にお問い合わせください。
Editor 福島みづき
Photographer 有本真大

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