「美味しい」生胡椒で、日々のごはんに魅力をプラス
祐天寺駅からうねうねと住宅街を5分ほど歩くと、こんな古い家がまだ東京に残っていたのか! と驚くような木造家屋が忽然と現れた。
『アパッペマヤジフ』は珍しい"生胡椒"の専門店。以前こちらの生胡椒の小さな瓶をお土産でもらったところ、あまりに活用度が高く、あれよあれよとなくなってしまった。今日はもう少し大きな瓶を買いに、自ら足を運んだのだ。
出番だらけ! 新しい調味料の定番、生胡椒
引き戸を恐る恐る開けると、中は予想に反して白壁のシックなレストラン。奥行きもあり、カウンターの壁一面に瓶詰めのスパイスが並ぶさまはまるで漢方薬局のよう。
『アパッペマヤジフ』併設のカレー店『レカマヤジフ』では、自慢の生胡椒やスパイスを使って仕上げたカレーの数々が味わえる。この建物はかつての町工場で、現在も生胡椒の瓶詰めや粉砕などの工程が2階で行われているそうだ。
入口付近の棚に並ぶ”アパッペ”の生胡椒は、スパイスの聖地と言われるスリランカ・マータレーに自生する胡椒を、乾燥させずに現地の自然塩に漬けたもの。最高ランクがついた希少な胡椒だけを取り扱っており、一年前に発注したものがやっと棚に並ぶというから驚きだ。
そのフレッシュな香りは山椒のような青みを伴い鼻から抜け、噛み締めるとギュッとした出汁のようなコクや、胡椒の実そのもののフルーティーさと旨味を感じる。辛みは強いが通常の乾燥胡椒のような刺激とは異なり、「胡椒って美味しいんだ」という発見をさせてくれた。
この生胡椒、パスタやサラダにかけても、お肉にマスタード感覚で添えても、炒め物にしても、香り高く旨味が増して、飽きるどころかクセになる。ぱらっと散らせば絵になる一皿に仕上がるのもお気に入り。まさに新定番になりそうな調味料なのだ。
日常を美味しく、ラクして、甘やかして
和洋中どんな料理にも使えるから買い足したくて…と店長の小野さんに話すと、「さらに簡単に、ふりかけみたいにも使えますよ」と提案があった。おすすめは、目玉焼き、ポテトチップス、カップラーメン、はたまた甘口のレトルトカレーにふりかけて、大人の味にアレンジすること、だそうだ。
そもそも"アパッペ"で粗挽きの〔ブレイクペッパー〕を販売し始めたのも、粒胡椒を包丁で刻む手間を省くためだそう。「包丁を出すのさえ面倒な時ってありますよね。料理というより、日常に、ラクにおいしい味が届けば」。その言葉に、果てしなく続く自炊生活をねぎわれたような気がして、ほろりと心がほどけた。
生胡椒はLサイズを購入することに決めてふと見ると、棚にはシンプルな白い瓶も並んでいる。ルビーチョコのキューブにまるごとひと粒生胡椒が入った〔cocho・cocho〕。試食してみると、適度な刺激と塩気がルビーチョコの甘酸っぱさを増幅しながら、口の中でとろけた。
自分の作る料理の味が当たり前のように思えてしまった時は、ちょっと自分を甘やかして、いったんリセットしてもいいのかな、と思う。そしてこのチョコをひと粒口にほおりこんで、少ししゃきっとする。そんな瞬間に大切に食べようと決めて、チョコの白い瓶も手のひらにのせた。
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SHOP INFO 店舗情報
定休日:月・第二火
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