池袋
ShopStory
店舗情報

まだ見ぬ自分をひらくため、僕はページを捲った

ここなら何かが変わるかもしれない、と彼は池袋のとある書店の扉に手を掛けた。

30年とちょっと生きてきて、世間で「人生の曲がり角」なんて言われる年齢をちょうど通り過ぎたくらいだろうか。金曜日の夜は職場の独身仲間と一杯やって、週末は自宅でNetflix三昧。そんな日常にも満足はしているが、少しばかり刺激が足りていないと感じることも確かだった。

そんな折、彼は前の職場の同僚がシェアしていたfacebookの投稿を目にした。集まった人たちでテーマに沿って本をおすすめし合うという、とある読書会の告知だ。

「本好きの仲間がいるからこそできる、読書の楽しみ方」

投稿の中のそんな言葉に惹かれ、彼はこのユニークな書店ーー『東京天狼院』へと足を運んだのだった。

01

読書の先の「体験」も届ける異色の書店

池袋駅東口から徒歩6分ほど、小さなビルの2階にある『東京天狼院』は、全国に展開する天狼院書店の1号店だ。

店内に一歩足を踏み入れると、右手にはバーカウンター、左手にはずらりと並ぶ本棚が見える。右手奥にはこたつ席などもあるほか、ドリンクや軽食のオーダーも可能で、書店とカフェが融合したブックカフェのような空間だ。

彼が訪れた東京天狼院をはじめとする天狼院書店の大きな特徴は、読書の先の体験を届けるという「READING LIFEの提供」をモットーにしているという点。この東京天狼院でも、映画や写真、落語などに関する部活や、ライティングを学ぶためのゼミなど、本に限らない多種多様な集まりに参加することができる。

店主・三浦さんの人生を変えた本たちが「仕事を創った本棚」「撮る人を創った本棚」など、独特の切り口で紹介されている
店主・三浦さんの人生を変えた本たちが「仕事を創った本棚」「撮る人を創った本棚」など、独特の切り口で紹介されている
「人生を変えた本棚」に並ぶ本たち。1冊1冊すべて手に取りたくなってしまう
「人生を変えた本棚」に並ぶ本たち。1冊1冊すべて手に取りたくなってしまう
読書を楽しみながらアルコールや軽食を楽しむことができるので、気兼ねせずに立ち寄れる
読書を楽しみながらアルコールや軽食を楽しむことができるので、気兼ねせずに立ち寄れる
02

読書好きも、そうでない人も、一緒に語り合える

書店で平積みされている話題の小説を気が向いた時に手に取ることはあっても、読書を趣味と言えるほど本を読んでいる訳ではない。そんな彼がこうしてこの東京天狼院に足を運んだのは、目にした例の投稿に、「普段全然本を読まない自分でも楽しめた」というコメントと楽しそうに笑う同僚の写真を見つけたからだった。

窓際に並ぶ「人生を変えた本棚」と銘打たれた本棚を眺めていると、店員が声を掛けてくれる。

「いらっしゃいませ。どんな本がお好きなんですか?」

「あ、普段はあんまり本を読まないんです。でも、これから少し読み始めてみようかなと思っていて」

あのイベントに参加してみたいと思っているんですけど、と彼が指さした先には、「ファナティック読書会」のイベントチラシがあった。

彼が週末に参加しようと考えているこの「ファナティック読書会」は、開催回ごとのテーマに沿って参加者が本を持ち寄り、その1冊についてファナティック(=熱狂的)に語り合うというイベントだ。聞き専の参加者もいるので、本をあまり読まない人でも気軽に参加することができる。

ファナティック読書会の参加客たちが持ち寄った本が並ぶ本棚もある
ファナティック読書会の参加客たちが持ち寄った本が並ぶ本棚もある
彼が興味を引かれた「最強の時間術」ゼミ。こうしたゼミや部活動は天狼院書店ならではの試みと言えるだろう
彼が興味を引かれた「最強の時間術」ゼミ。こうしたゼミや部活動は天狼院書店ならではの試みと言えるだろう
「フォト部」の参加者によって作られた本も店頭に並んでいる。まさに皆で作り上げていくお店という印象だ
「フォト部」の参加者によって作られた本も店頭に並んでいる。まさに皆で作り上げていくお店という印象だ
03

部室のような「ちょうどいい」距離感

「読書会についてサイトで調べている時にも思ったんですけど、『フォト部』とか『落語部』って、大人のサークル活動みたいですよね。このお店も、何だか学生時代の部室みたいな感じというか」

読者会やイベントについての説明を受けている最中、彼がそう話すと、店員さんが笑顔で言う。

「そうですね、実際そういう感覚で新しい仲間との出会いを求めて参加される方もいらっしゃいますよ。お店としても、そういった活動をきっかけに、もっと皆さんに読書を身近なものとして感じて欲しいという思いがあるんです」

店員さんの言葉の通り、ジャンルに囚われないバラエティ豊かなイベントをはじめ、店内は「読書を身近に」という天狼院書店ならではの工夫に満ちている。特に、「こんな本が読みたい」とコメントを残しておくと店を訪れた他のお客さんが相談内容に合った本を紹介してくれるという「本の知恵袋」というコーナーなどは、本に詳しくない人にこそ読書の入り口として最適だ。

東京天狼院には、新たな本との出会いだけでなく、それまで自分が知らなかった新たな世界への扉が待っている。そして、ここに集う仲間たちが、その扉に手を掛けるのを後押ししてくれるのだ。

「本の知恵袋」のコーナーでは、「こんな本を探しています」といった相談事に他のお客さんが答えてくれる
「本の知恵袋」のコーナーでは、「こんな本を探しています」といった相談事に他のお客さんが答えてくれる
中には「失恋しました」といった内容の相談も。そんな気分の時にはどんな本がおすすめなのか気になる
中には「失恋しました」といった内容の相談も。そんな気分の時にはどんな本がおすすめなのか気になる
店内のあちこちにQRコードがあり、カメラで読み込むと三浦さんによる本の紹介動画を閲覧できる仕組みだ
店内のあちこちにQRコードがあり、カメラで読み込むと三浦さんによる本の紹介動画を閲覧できる仕組みだ
04

大人の秘密基地で、新たな一歩を踏み出す

よく言われていることだが、家と職場の往復を繰り返すだけの日々を過ごしていると、仕事以外での人との関わりの輪がなかなか広がらないものだ。実際のところ、彼もそうだった。

けれど、この東京天狼院は、読書をはじめとした幅広い趣味を持った仲間たちが集う部室のような場所。ここに集まる様々なメンバーで共同運営しているような空気感もあるから、「大人の秘密基地」とも言えるかもしれない。

また、店に来ている客同士だけでなく、店員さんとお客さんの距離が近いのも、他の書店とは一線を画した天狼院らしいポイントだ。彼が訪れている間にも、先ほどの店員さんが常連らしき他のお客さんに「今日はどれにするんですか?」などと声を掛けているのが聞こえていた。

この場所でなら、本を通じて新たな仲間と出会えるだけでなく、これまで知らなかった自分ともきっと出会えるだろう。

新しい本の表紙をめくる時の、あのわくわくする気持ち。今はまだ漠然としてはいるものの、彼の胸はそんな高揚感で満ちていた。

彼が訪れている間にも、1人のお客さんが「いれかえ文庫」のノートを書いていた
彼が訪れている間にも、1人のお客さんが「いれかえ文庫」のノートを書いていた
1冊持ち寄ると好きな本を持ち帰ってもいいというアナログなシステムはリアル店舗ならではの楽しみに違いない
1冊持ち寄ると好きな本を持ち帰ってもいいというアナログなシステムはリアル店舗ならではの楽しみに違いない
カウンターの女性がオーダーしていた雨色クリームソーダ。雨の日は100円引きになるらしい。また来よう
カウンターの女性がオーダーしていた雨色クリームソーダ。雨の日は100円引きになるらしい。また来よう

Editor | 福島みづき
Photographer | 有本真大

SHOP INFO

東京天狼院のマップ
店舗名
東京天狼院
住所
東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
アクセス
池袋駅 徒歩5分
営業時間
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
定休日:なし
電話番号
03-6914-3618
※ 取材時期や店舗の在庫状況により、掲載している情報が実際と異なる場合があります。 商品情報や店舗の詳細については直接店舗にお問い合わせ下さい。

RECOMMEND おすすめ記事
本好きなら絶対行きたい、東京都内で人気のブックカフェ5選
“ただいま”を言いたくなる古民家のブックカフェ
「本もコーヒーも両方だなんて、欲張りかしら?」
「奇妙な出会い」を売る古書店
【4月特集】池袋で過ごす、小旅行のようなひととき
近場トリップ楽しもう!気軽な東京おでかけスポット
新しい環境と時間を発見!そこにいるのは新しい自分
その本棚は海を渡る
「いつか」を巡る旅に出よう
渇いたカラダを潤す、表参道で味わう絶品ドリンク
マグで楽しむ新感覚のおだし体験
五感で味わう、日本茶という文化の豊かな真髄
【11月特集】センスの光る冬の始まりを探しに、日本橋を訪れて
極上の一杯を!美味しい紅茶が買える東京都内の紅茶専門店
手仕事のストーリーを編む、ハンドメイドの手芸雑貨
毎日をしなやかに形作る、伝統を受け継ぐ和の香り
“ただいま”を言いたくなる古民家のブックカフェ
本好きなら絶対行きたい、東京都内で人気のブックカフェ5選
人から人へ、日本茶との新たな出会いを芽吹かせて
【10月特集】とっておきの時間の見つけ方。中央線に揺られて素敵なお店へ
お問い合わせ
お問い合わせいただきありがとうございました
恐れ入りますが、内容によりご回答やお返事をお約束できない場合や、お時間をいただく場合がございます。
再度お問い合わせを送りたい場合は、ページを再読み込みしてください