自由が丘
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店舗情報 EDITOR'S NOTE

ただ「飾る」のではない、一緒に「暮らす」盆栽を

店先でさわさわと風に揺れている緑が、何だか手招きをしているように見えた。

奥沢から自由が丘までの道をのんびりと散歩していた彼女は、奥沢2丁目の住宅街にある『品品(しなじな)』という盆栽専門店の前で足を止めた。以前にも一度通り掛かったことのあるお店だけれど、その時は何となくそのまま通り過ぎてしまったのだ。

けれど、どうしてだろう。棚に並ぶ大小さまざまな盆栽に、今日は心が引き寄せられる。

不思議な縁を感じた彼女は、意を決して一歩を踏み出した。

01

青々とした葉を揺らす緑に誘われて

彼女が足を運んだ『品品』は、日本特有の文化である盆栽を、現代に合わせた新しいスタイルで提案している盆栽専門店。店内には大小様々なサイズの盆栽が所狭しと並んでおり、その種類も松にカエデ、苔類といったように様々だ。

屋外の棚を見て回ってみると、一口に盆栽と言っても、クラシックな松の盆栽からサボテンや苔をあしらったモダンなもの植えられたものまで幅広いテイストの鉢植えが並んでいる。中でも、ころんと丸いシルエットがかわいらしい白い鉢の盆栽は、彼女の暮らすワンルームにもよく馴染みそうだ。

ちょうど部屋の模様替えをしようと思っていたところだし、この鉢を1つ買って帰ろうかな……

そんな風に考えたところで、彼女はふと、数年前に枯らしてしまった観葉植物の存在を思い出した。一人暮らしの部屋に癒しを添えようと飾ったにもかかわらず、忙しさにかまけて少しずつ世話が疎かになってしまい、結局駄目にしてしまった。社会人として駆け出しだった頃の、ほろ苦い思い出のうちのひとつだ。

店先に並ぶたくさんのグリーンが出迎えてくれる
店先に並ぶたくさんのグリーンが出迎えてくれる
いわゆる「盆栽」というイメージのものからモダンなものまで、一口に盆栽といっても幅が広い
いわゆる「盆栽」というイメージのものからモダンなものまで、一口に盆栽といっても幅が広い
手のひらサイズの小ぶりな鉢もあるので、自分に合ったものを選ぶことができる
手のひらサイズの小ぶりな鉢もあるので、自分に合ったものを選ぶことができる
住宅地の中に突然現れる鮮やかな緑に目が留まる
住宅地の中に突然現れる鮮やかな緑に目が留まる
02

はじめてだからこそ「好き」を大事に

「あの、部屋にグリーンを置いてみたいと思っているんですが、初心者でも育てやすいものってありますか?」

彼女がそう声を掛けた相手は、品品の代表である小林さん。「今度こそは枯らしたくない」という思いから、少しばかり弱気になっていた彼女に、小林さんは優しくアドバイスをしてくれる。

「育てやすいもの、というよりは、まずは自分が『好きだな』『これがいいな』と思ったものを選ぶことが大事ですよ。例えば、お花が好きだったら花の咲くものがいいし、実がなるのを見たいなと思ったらそういう種類のものを……そういう風に選んだ方が世話をするのも楽しいですし、大事にしようと思えるんじゃないかな」

その小林さんの言葉に、彼女は以前の失敗を思い出しながら静かに頷く。きっと、「ただ部屋に緑が欲しいから」というだけの理由で鉢を置くのではなく、自分が一緒に暮らしたいと思うものを選ぶことが大事なのだ。

鉢の中が箱庭のようにひとつの世界になっている
鉢の中が箱庭のようにひとつの世界になっている
明るい店内には、鉢やはさみなどの道具類も充実
明るい店内には、鉢やはさみなどの道具類も充実
手のひらにちょこんと乗るサイズ感が何とも言えずかわいらしい小鳥の鉢
手のひらにちょこんと乗るサイズ感が何とも言えずかわいらしい小鳥の鉢
植える器の色を変えると、また違った表情を見せてくれるのだという
植える器の色を変えると、また違った表情を見せてくれるのだという
03

伝統のあるものだからこそ、若い人に届けたい

「若い人が盆栽に触れるきっかけになるようなお店でありたい」という小林さんの思いから、品品では定期的に盆栽初心者に向けたワークショップも開催されている。自分の手で土からつくることで、盆栽をさらに身近に感じることができるのだという。

「今でこそおじいちゃんがやるものと思われてしまいがちな盆栽だけど、実はそうなったのは昭和の高度経済成長期の頃。本当は、『おじいちゃんの趣味』というよりは『おじいちゃんでもできる趣味』なんですよね。それに、盆栽には1400年くらい歴史があって、明治時代までは若くてお洒落な人の趣味だったんですよ」

「えっ、そうなんですか! そんな歴史があったなんて、全然知りませんでした……」

小林さんが語る盆栽の歴史に、彼女は思わず目を丸くする。

「まずは難しく考えずに、『ちょっと始めてみたいな』くらいの気持ちでOKですよ」と笑う小林さんの言葉に背中を押されて、彼女は直感で選んだひとつの鉢を手に取ってみる。

代表の小林さん。お客さんの疑問や相談にも気さくに応えてくれる
代表の小林さん。お客さんの疑問や相談にも気さくに応えてくれる
枝葉のあるものだけでなく、苔を中心とした鉢も。デスクの片隅に置きたくなってしまう
枝葉のあるものだけでなく、苔を中心とした鉢も。デスクの片隅に置きたくなってしまう
この日、彼女が買って帰ることにした盆栽。このサイズのものであれば3000円ほどから購入できる
この日、彼女が買って帰ることにした盆栽。このサイズのものであれば3000円ほどから購入できる
04

服を着替えるように楽しむ、盆栽のモダンなスタイル

品品の店内には、デザインや大きさの異なる様々な鉢のほか、盆栽の鉢の下に敷くための受け皿なども数多く並んでいる。鉢と受け皿の色合いや素材の組み合わせによって、同じ盆栽でも見え方が全く違うのだという。

その話を聞いて、彼女も先ほど選んだ白い鉢の盆栽を様々な受け皿やオブジェと組み合わせてみる。小林さんの言う通り、合わせるグッズの質感や色、形によって、その組み合わせは無限大だ。

「何だか、気分によって着せ替えてみるのも楽しそうですね」

「そうですね。鉢にあれこれ組み合わせてインテリアとしても楽しめるのも、盆栽の魅力のひとつです」

思いもよらなかった盆栽の楽しみ方を知り、心を弾ませつつお店を後にした彼女。帰り道、彼女の胸を埋めていたのは「枯らしたくない」という気持ちではなく、「この盆栽と一緒の暮らしを楽しもう」という軽やかな期待だった。

このように「影」を楽しむという飾り方もあると知り、目から鱗だった
このように「影」を楽しむという飾り方もあると知り、目から鱗だった
鉢の下に何を置くかによって、印象がガラッと変わる。その変化を味わうのも楽しみのひとつだ
鉢の下に何を置くかによって、印象がガラッと変わる。その変化を味わうのも楽しみのひとつだ
オブジェとの組み合わせを考えるのも楽しい時間。インテリアとしても奥が深い
オブジェとの組み合わせを考えるのも楽しい時間。インテリアとしても奥が深い

EDITOR’S
NOTE

編集後記

奥沢2丁目の住宅街に佇む、店先の鮮やかなグリーンが目印の盆栽専門店『品品』。

代表の小林さんが「若い人が盆栽に触れるきっかけになれたら」という思いで立ち上げた品品では、盆栽という文化の今の時代に合わせた楽しみ方を提案してくれるお店です。

実際のところ、私自身も取材前までは盆栽に対して「難しいもの」「お年寄りの趣味」という印象を抱いていました。けれど、代表の小林さんのお話を伺っているうちに、「もっとカジュアルに楽しんでいいんだ」と盆栽に対するイメージがガラッと変わり……。

少しでも「ちょっとグリーンを始めてみたいな」と思っている方は、ぜひお店で小林さんに相談してみてください。

編集部:Mizuki
Editor Mizuki
Editor | 福島みづき
Photographer | 有本真大

SHOP INFO

品品のマップ
店舗名
品品
住所
東京都世田谷区奥沢2-35-13
アクセス
自由が丘駅 徒歩6分/奥沢駅 徒歩4分
営業時間
10:00~19:00
定休日:水
電話番号
03-3725-0303
※ 取材時期や店舗の在庫状況により、掲載している情報が実際と異なる場合があります。 商品情報や店舗の詳細については直接店舗にお問い合わせ下さい。

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