日本橋
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店舗情報 EDITOR'S NOTE

愛嬌と手触りに惚れ惚れする、和紙舗

日本橋駅から地上に出てすぐ、オフィス街にぽこんと現れる可愛い建物が、1806年創業の和紙舗『榛原(はいばら)』だ。

マットな黒い瓦が独特のリズムを生むモダンな外観。平仮名で「はいばら」と書かれたのれんを見上げて、「なんだか和菓子屋さんみたいだ」と彼女は思った。まだ足を踏み入れてもいないのに、愛着が湧いてしまう。

小さな窓から漏れるやわらかい光に誘われるように、彼女は榛原ののれんをくぐった。

01

日常に彩りを添える心遣いと色遣い

きっかけは、同僚が添えてくれたメモだった。ふたつにたたまれ、切り取り線がはいったその小さな紙には、ひかえめな装飾が施されている。縦書きなのもちょっと新鮮だ。

「これ、かわいいね」と褒めたら、マッチ箱より少し大きい綺麗な小箱を引き出しから取り出して、そっと開けた。中の便箋を取り出すと、じゃららららんと蛇腹状に繋がっている。わっと思わず歓声を上げた彼女に、オフィスの視線が集まって、ちょっと恥ずかしい思いをすることになった。でも、そのくらい感激してしまったのだ。

この『ちいさい蛇腹便箋』は、榛原の人気商品らしく、カラフルな小箱がずらりと並んでいる。便箋にはそれぞれに違う絵柄が描かれていて迷ってしまう。いくつか買って帰ろうと思っていたけど、悩ましいものだ。

巻き紙から発想を得たという『ちいさい蛇腹便箋』(550円)。ミシン目が入っているので好きなところで切り離せる
巻き紙から発想を得たという『ちいさい蛇腹便箋』(550円)。ミシン目が入っているので好きなところで切り離せる
外観は「色硝子」という榛原オリジナルデザインの千代紙からイメージされたもの
外観は「色硝子」という榛原オリジナルデザインの千代紙からイメージされたもの
雑貨好きの心をくすぐってやまない、千代紙が貼られた小箱
雑貨好きの心をくすぐってやまない、千代紙が貼られた小箱
榛原に伝わる「伊勢型紙」の図案を用いて仕立てたぽち袋。心まで届けてくれそうな優しい色合い
榛原に伝わる「伊勢型紙」の図案を用いて仕立てたぽち袋。心まで届けてくれそうな優しい色合い
02

1点ものは手触りと質感で語る

店内を見回していたら、引き出しに入った大きな千代紙と目が合ってしまった。ハリのある和紙をそっと指でなぞり、しゃがみこんで隅々まで見入いっていると、時間を忘れそうだ。

「このお店には何種類くらいの千代紙があるんですか?」と店員さんに尋ねると、「数えたことはありませんが、100種類前後でしょうか」という返答。今も時折、新柄が発売になるのだそう。

「榛原の4代目当主は、絵師さんをとても大切にする方だったそうで、竹久夢二がうちだけに下ろしたオリジナルデザインの商品も多いんです」

なるほど。いつの時代も企業努力は同じなのかも、と彼女はひっそり思う。1枚1枚職人さんが木版で手摺りしたという便箋や熨斗袋は、それぞれ色の出方や滲みが異なる。絵の具で手書きしたような重厚感のある手触りで、触れると心が改まるようだ。

鮮やかな伝統柄の千代紙(¥1,650/税込)
鮮やかな伝統柄の千代紙(¥1,650/税込)
モダンでかわいい花柄など、逆に新しさを感じる絵柄も
モダンでかわいい花柄など、逆に新しさを感じる絵柄も
同じ柄でも風合いの異なる手摺り木版の熨斗袋
同じ柄でも風合いの異なる手摺り木版の熨斗袋
職人さんが1枚1枚木版を使って手摺りする、榛原こだわりの手法
職人さんが1枚1枚木版を使って手摺りする、榛原こだわりの手法
美人画で有名な竹久夢二の一筆箋(¥550/税込)。榛原でしか見られないオリジナルデザインが多数
美人画で有名な竹久夢二の一筆箋(¥550/税込)。榛原でしか見られないオリジナルデザインが多数
03

大切にする心が出会いを広げる

「ブックカバーにしてみようかなぁ。でも、こんな美しい紙、もったいなくて自分でハサミなんて入れられません」と、千代紙をなでる彼女がため息をつくと、店員さんは少し笑って、榛原の千代紙を使ったオリジナル商品を紹介してくれた。

千代箱、折り紙、金色のちいさな取っ手がついた引き出し、折りたためる小物入れ……‬。その中で彼女が特に心惹かれたのは、朱印帳だ。これなら、時間をかけて大切に使い続けられる。

「朱印帳は、性別年齢問わず、広い層のお客様から支持いただいています。1冊1冊、柄の出方が違うのは千代紙の愛嬌かもしれませんね」

「愛嬌」と、彼女は小さく反芻する。とても優しい響きだ。

御朱印巡り。新しい趣味にしてもいいかもしれない。なにかを始める、なんてすごく久しぶりのことだ。胸がどきどきするのを感じながらお会計をお願いする。長期休暇でもないのに、ちょっとした旅行に行くという楽しみの種が、もう彼女の心を満たしはじめていた。

榛原の千代紙で仕立てたオリジナル朱印帳(¥1,870/税込)。左から「おしどり」「重陽」「色硝子」
榛原の千代紙で仕立てたオリジナル朱印帳(¥1,870/税込)。左から「おしどり」「重陽」「色硝子」
色とりどりの朱印帳たち。どれにしようか延々と迷ってしまうほどのラインナップ
色とりどりの朱印帳たち。どれにしようか延々と迷ってしまうほどのラインナップ
色合わせも美しい小物入れは下段のように折りたためる優れもの
色合わせも美しい小物入れは下段のように折りたためる優れもの
小さな正方形のぽち袋には、デザインされた百種の「福」の字がずらり(¥352/税込)
小さな正方形のぽち袋には、デザインされた百種の「福」の字がずらり(¥352/税込)

EDITOR’S
NOTE

編集後記

日本橋のB6出口を上がると、突如として現れる小箱の様なお店『榛原』。店内には生活に取り入れたい、かわいい小物や雑貨がたくさんありました。

和紙ならではの手に触れた時の優しい質感や、鮮やかさの中に感じるやわらかな色合い。四季の移ろいや草木花々、小さくかわいい動物や鳥など、日本人が長年大切にしてきたものが絵柄となり受け継がれていることを感じられる、素敵なお店でした。

手摺りのご祝儀袋は、派手さはないものの手摺りでしか出せない鮮やかさや深みがあり、相手の幸せを心から願う気持ちまで届けてくれそうです。

編集部:Joe
Editor Joe
Editor | 小西麗
Photographer | 橋本越百

SHOP INFO

榛原のマップ
店舗名
榛原
住所
東京都中央区日本橋2-7-1 東京日本橋タワー
アクセス
日本橋駅 B6出口 直上
営業時間
月〜金 10:00〜18:30/土日 10:00〜17:30
定休日:祝・年末年始
電話番号
03-3272-3801
※ 取材時期や店舗の在庫状況により、掲載している情報が実際と異なる場合があります。 商品情報や店舗の詳細については直接店舗にお問い合わせ下さい。

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